2-3)気分障害の分類(簡単な記述)
2-3-1)うつ病性障害 Depressive Disorders
- [296.2x] 大うつ病性障害、単一エピソード
- 1回だけの大うつ病エピソード。
- [296.3x] 大うつ病性障害、反復性
- 2回以上の大うつ病エピソードがある。
<ふつうの内因性うつ病は通常上記の大うつ病性障害の単一エピソードか反復性エピソードのどちらかに相当すると考えられています。大うつ病障害全体の頻度は、双極性障害より高頻度で、生涯有病率は女性で10-25%、男性で5-12%と言うDSM-IVでの調査があります。双極性障害のうつ病相は、これとしばしば見分けがつかないので、鑑別上重要です。>
- [300.4] 気分変調性障害
- 抑うつ気分が2年以上続く。でも大うつ病エピソードは満たさない。
<完全に同類かは分からないけど、うつ病の軽症型で、以前心因性うつ病とか、神経症性うつ病、抑うつ神経症などと呼ばれたモノは、これではないかと思われています。>
- [311] 特定不能のうつ病性障害
- 上記に当てはまらないうつ病性障害。
例)適応障害で抑うつ気分を伴うもの。月経前不快気分障害。小うつ病性障害(研究用診断基準案)。反復性短期抑うつ障害。統合失調症後のうつ病性障害。妄想性障害・特定不能の精神病性障害・統合失調症活動期に重なる大うつ病エピソード。原発性か身体疾患によるものか物質誘発性か不明なうつ病症状。など。
2-3-2)双極性障害 Bipolar Disorders
- 双極I型障害
DSMでは単一躁病エピソードだけで双極Iと定義できるけど,原則は大うつ病エピソード+躁病エピソードです。
更にに言えば、大うつ病エピソード+混合性エピソードでも基準を満たします。
それ以外に、大うつ病エピソード+軽躁病エピソードの場合は,あと1つ躁病エピソードか混合性エピソードがあれば、双極I型になります。
最新のエピソードによってコード番号が違うけど,一般人にはあまり意味がないです。
これが昔から言われた躁うつ病にほぼ合致します。
昔と違う点は、混合性エピソードと軽躁病エピソードがきちんと定義された事と、躁病エピソードで、精神病性の特徴があって良いとなった点です。昔の躁うつ病の診断では、精神病性の特徴があると統合失調症と診断する可能性が大でした。
この事と、統合失調感情障害の扱いが変わった為に、現在の双極性障害は、双極II型の軽症型を含むにも関わらず、全体として昔の躁うつ病より重症化したと言う考えがあります。
- [296.89] 双極II型障害(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)
これはまったく新しい概念の疾患で今までの双極性障害や躁うつ病には含まれていませんでした。1回以上の大うつ病エピソードに,最低1回の軽躁病エピソードがあれば診断できます。躁病エピソードや混合性エピソードがあってはいけません。
第二部 3)病型別の双極性障害の治療、3-2)双極II型障害を参考にして下さい。- [301.13] 気分循環性障害<後でより詳しく説明。>
- 2年以上軽躁と大うつ病エピソードを満たさない抑うつ気分をくり返す。 DSMでは軽鬱という用語はないけど、しいて書くと,これは軽躁+軽鬱となります。
- [296.80] 特定不能の双極性障害<後でより詳しく説明。>
- 文字どおり上記に分類できない双極性障害。
例を上げると、躁病症状、うつ病症状、軽躁病症状の急速な交代(数日おきなど)で、症状域値は満たすけど最小持続期間の基準は満たさないもの。軽躁病エピソードの反復で、エピソード間にうつ病症状を伴わないもの。原発性か身体疾患によるものか物質誘発性か不明な双極性障害。
急速交代型(ラピッドサイクラー)は,DSMで特定用語として定義されています。 1年間に,4回以上気分エピソードがあるということです。躁,鬱,躁,鬱などでよいので,かなりの人がこれに相当してしまします。
第二部 3)病型別の双極性障害の治療、3-1)ラピッドサイクラーを参考にして下さい。
[301.13] 気分循環性障害(詳細)
[296.80] 特定不能の双極性障害 (BPNOS)(詳細)
を下記のページで記載します。
◆[301.13] 気分循環性障害 Cyclothymic Disorder
A. 少なくとも2年間にわたり、軽躁病症状を伴う多数の期間と、抑うつ症状を伴うが大うつ病エピソードの基準は満たさない多数の期間の存在。
*注: 小児期および青年期においては、期間は少なくとも1年間でなければならない。
B. 上記の2年(小児や青年の場合は1年)の期間中、1度に2か月を越える期間、基準Aの症状がなかったことがない。
C. この障害の最初の2年間に、大うつ病エピソード、躁病エピソード、または混合性エピソードが存在したことはない。
*注: 気分循環性障害の最初の2年(小児または青年の場合は1年)の後で、躁病または混合性エピソードが重畳すること(この場合、双極I型障害と気分循環性障害の両方の診断が下される)、または大うつ病エピソードが重畳すること(この場合、双極II型障害と気分循環性障害の両方の診断が下される)がある。
D. 基準Aの症状は分裂感情障害ではうまく説明されないし、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害または特定不能の精神病性障害には重畳しない。
E. 症状は物質(例:乱用麻薬、投薬)または一般身体疾患(例えば、甲状腺機能亢進症)の直接的な生理学的作用によるものではない。
F. 症状は臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
◆[296.80] 特定不能の双極性障害 Bipolar Disorder Not Otherwise Specified (BPNOS)
特定不能の双極性障害のカテゴリーには、双極性の特徴をもつ疾患で、どの特定の双極性障害の基準も満たさないものが含まれる。例をあげると、
1. 躁病症状とうつ病症状との間の、非常に急速な交代(数日)で、躁病エピソードや大うつ病エピソードの最小持続期間の基準を満たさないもの。
2. 軽躁病エピソードの反復で、エピソード間にうつ病症状を伴わないもの。
3. 妄想性障害、残遺型の統合失調症、または特定不能の精神病性障害に重畳する躁病または混合性エピソード。
4. 双極性障害は存在するが、それが原発性か、一般身体疾患によるものか、物質に起因するものか、臨床家が決めることができなかった場合。
これで 第一部 双極性障害(いわゆる躁うつ病)の概念,診断の終了です。お疲れさま。最初に戻りたい方はリンクで戻れます。
少し休んだらとは思うけど,引き続き 「第二部 双極性障害(BP)の治療」へ行けます。
コンテンツ別目次は 双極性障害の概念、診断、治療