甘くはない病名確定、時には難産も覚悟して
症状が類似する周辺の病気もありますので、そういった意味でも病名が一度で確定するとは限りません。周辺の似た症状のある病気とは、症状の変化により病名が変化する場合もあり得ます。その場合、双極性障害と似たような治療も多いので、柔軟に捉えて対応していくことになります。病名が多少曖昧でも、主治医の判断を受け入れてみましょう。病名が明確にできない状況でも、通院と経過観察、対症的な薬物療法を開始できれば、その後の診断・治療の道につながるので、まずは良いのではないでしょうか。経過によっては詳しい病名に当事者が固執すること自体が、診断面から見ても無理がある場合があります。そう言った場合では、初期の段階で病名に神経質になることはないと私は考えています。「病識」を持つ第一歩に変わりはないのですから。
観察中に双極性障害と確定できなくても、その可能性はあるとなった場合、診断的治療として、気分安定薬の少量から始めて様子を見る可能性があります。初診時に、単極性のうつ病と診断されるのは、しばしばありますし、診断確定までに10年かかる事も稀ではありません。
http://www.mental-clinic.ne.jp/blog/archives/2008/08/_3_10.html
しかしながら、この10年という期間は本当に必要だった症例と、もっと早く診断確定できた症例があるように思われます。本人が躁病エピソードの定義や存在をもし知っていたならば、そして軽躁などの比較的見落とされやすいエピソードを自覚できたなら、もっと早く診断変更ができて、単極性のうつ病の治療から双極性障害の治療へと方向転換できたのではないかと思わずにはいられません。単極性のうつ病から双極性性障害(特にII型障害)へと長い経過をかけて診断名が変わる症例があるからです。気分障害という枠組みで括られていても、両者は治療の基本、薬物の処方があまりに異なりますので、できるだけ早期に両者の区別が確定できることが望ましいと思います。
次は、「病識と治療を持続させるための医療・当事者のライン」です。