医療化,脱医療化,脱病院化社会,反精神医学

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「医療化」の概念は,イリイチの『脱病院化社会』(1976=1979)により,1970年代以降アメリカを中心として,学問領域を超えて幅広く知られた概念です。「医療化」とは,従来は別の領域─道徳,宗教,司法など─において扱われていた事柄が医学的な用語や概念を用いて再構成され,その事柄の「管轄権」が医療へと譲渡されていくようなプロセスを指します。
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/UCRC/ja/zasshi/pdf/zasshi10/p129.pdf

 

具体例では,、「同性愛」は前近代では宗教上の罪として捉えられていましたが、1869年にハンガリーの一医師がこれを病気の一つとして提唱、1952年には米国の精神医学会DSMが公的にも精神疾患の一種として定義しました。これによって罪とは切り離されることになりました。
前近代では,多くの精神病が,宗教上の罪・罰や,不道徳の結果とやはり見なされて,精神病者は精神病院で非人道的扱いを受けていたけれど,これも医療化によって恩恵を受けるはずでした。

ところが,当時の精神病院が用いた治療法の流行は,電気ショック療法にロボトミー手術であり、“精神外科"(“Psychosurgery",Freeman & Watts,1942)と称される、時期尚早と見られる『脳手術による自由な性格の創造』=唯脳論がまじめに論ぜられていた時代でした。

その中で,次の流れとしてイリイチ等の脱医療化,脱病院化社会論の著書を初めとする反医療化の運動が出現して、戦後すぐの医療化第一派は脱医療化の方向で押し戻されました。
現に,同性愛に関してはDSMに記載されたものの,1973年削除され,完全に脱医療化された数少ない例と言えるでしょう。
http://www6.big.or.jp/~es_plus/main/l3/es-zui/meditate.htm
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Cinema/2724/ivanillich.html

しかしその他の精神疾患については,抗精神病薬,抗うつ薬,抗不安薬,リチウム革命にによって,時代は精神薬理学の時代となり,反精神医学の立場は患者からも家族からもあまり支持されないものになってしまいました。

躁うつ病の場合は,とても良い医療に依存せざる得ません。処方がぴったりでないと気分の調整にとても苦労します。大体合っていれば,入院は防げるけど,ラピッドサイクルや遷延性の鬱になったりします。でも複数の気分安定薬に非定型抗精神病薬を併用しても,正常気分を維持するのは困難でした。
私や躁うつ病患者には反精神医学はとても受け入れられません。
現代の医療システムは患者生産工場と化していて、病院は自分たちの利益を求めて金儲けのために患者を薬漬け・検査漬けにしているというのも,信じません。

イリイチは社会の脱病院化について直接スローガンを掲げたわけではありません。
イリイチの著作を翻訳した金子嗣郎さんという精神科医が、イリイチの著作の精神を日本語の標題として、このスローガンを掲げました。
当時の歴史的状況から考えれば想像できるように、このスローガンには反精神医学の精神への期待や、日常生活の医療化への批判が込められています。
その後、この医療化批判や病院のシステムは、時代や経済の流れを受けて変容を遂げました。一言でいうと、病院は収容所という古典的な意味や意義を失いつつあります。
http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/user/rosaldo/021209dehosp.html

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