ふるかわによる記事
1 | 一覧へ躁うつ病(双極性障害)を含む精神疾患を抱える人(仮に精神障害者と呼びます)が海外旅行をする場合、困難が伴うことがあります。それは、入国審査における精神障害の有無を問う項目の存在です。
米国では、日本国民が渡航する場合は、ビザ(査証)の免除プログラムというものがあり、就労を伴わない短期渡航の場合は通常はこの適用を受けることになるわけですが、その前提として、「精神上の障害がない」ということを申告する必要がありました。出入国カード(I-94W)という様式がその様式にあたります。最近では、この様式に代わって、ESTAという電子渡航認証システムが導入されました。2009年1月からはこのシステムに完全に移行することが予定されています。
ESTA:
http://www.mofa.go.jp/MOFAJ/toko/passport/us_esta.html
http://japan.usembassy.gov/j/visa/tvisaj-esta2008.html
なお、ここでどういう状態が「精神的障害がある」ことになるのかを規定した文があります。
https://esta.cbp.dhs.gov/esta/WebHelp/helpScreen_ja.htm#disorder
以下の場合、該当することになります。
(a) 現在、身体的または精神的障害を患い、その障害に関連して、自分または他の人の財物、安全または福利を脅かす可能性があり、あるいは脅かしたことがある行動を取った履歴があります。
(b) 身体的または精神的障害を患っていたことがあり、その障害に関連して、自分または他の人の財物、安全または福祉を脅した行動を取った履歴があり、その行動が再発または他の有害な行動につながるおそれがあります。
しかし、救済項目として、以下の場合は非該当として申告できます。
(a) 現在、身体的または精神的障害を患っていません。
(b) 身体的または精神的障害を患い、または患っていたことがありますが、その障害に関連して、自分または他の人の財物、安全または福祉を脅かす可能性があり、あるいは脅かしたことがある行動を取ったことはありません。
(c) 現在、身体的または精神的障害を患い、その障害に関連する行動がありますが、その行動は自分または他の人の財物、安全または福利を脅かしたことはなく、現在も脅かすことはなく、今後も脅かすことはありません。
(d) 身体的または精神的障害を患ったことがあり、その障害に関連して他の人の財物、安全または福利を脅かした行動がありましたが、その行動は再発しそうにありません。
上述の(b)-(d)をよく読むと、要するに精神障害(躁うつ病を含む)があって、人(自分・他人)の生命や財産等に危害を加えたことがあり、それが再発する可能性が高いときだけ、申告する必要があると読めます。
以上は米国渡航の話でしたが、中国の入国審査でも同様に精神障害の有無を問う申告書が必要になります。実際に、ふるかわはこの欄をYESにして埋めて渡航しましたが、入国審査官から足止めを受けることはありませんでした。単に人手が足りていなかっただけかもしれませんが、いずれにせよ、中国では精神障害の有無によっては入国を拒否することがあり得ることがわかります。
なお、個人的な経験ですが、オーストラリアとスイス、ドイツへ渡航した際には、そもそもこのようなことを問う項目がありませんでしたから、入国審査に精神障害の有無を問うのは、その渡航先によります。
ちなみに、日本ではどうなっているかというと、「出入国管理及び難民認定法」という法律があり、以下のような条文が規定されています。
http://www.moj.go.jp/NYUKAN/NYUKANHO/ho03.html
(上陸の拒否)
第五条 次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に上陸することができない。
二 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で、本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの
精神障害が原因で「事理を弁識する能力」が著しく不十分だと、補助する人が介在しないと入国はできないことになります。これは差別的であるといえるかもしれません。しかし、日本の憲法では、国民の出入国の自由(憲法22条)を認めていますが、外国人については一定の合理的な制限を与えることは違憲ではないという最高裁の判例(マクリーン事件)が出ています。
これは、おそらくどこの国の憲法でも同じなのでしょうが、精神障害を理由に入国が拒否されうる世の中になっているのはとても残念なことです。しかし、そうした状況がある以上、仕事やレジャーで海外渡航を予定する場合は、その渡航先が精神障害についてどのようなポリシーを持っているのか、よく調べておく必要があると言えます。
以前のエントリー記事でも紹介しました心身障害者扶養共済制度ですが、その条件が平成20年4月より改定されました。前よりも掛け金が上がって保障内容は同一なので、事実上の改悪となります。
心身障害者扶養保険共済制度の改正について(独立行政法人福祉医療機構)
その理由は、
しかしながら、平成8年の国及び道府県市からの公費負担を含めた見直し以降、運用環境の変化に伴う運用利回りの低下や、障害者の平均寿命の伸長による年金給付期間の長期化等により財政が悪化し、将来の年金支払を確実に行なえない恐れが生じております。
とのことです。
ちょっと古いニュースになりますが、
自民党は、高齢者が保有している潤沢な預貯金を少しでも株式等へのリスクマネーに投資してもらおうと考えてか、高齢者投資マル優制度(仮称)の創設を検討しているようです。
高齢者対策、配当100万円以下非課税 自民、マル優制度で検討(日経新聞)
障害者手帳が実は小技ながら利いてくる実例を紹介したいと思います。
障害者手帳(正式名称:精神障害者保健福祉手帳)の主な効用は、所得税に対する障害者控除(1級:40万円、2,3級:27万円)だと一般的に考えられています。これはある意味正しいのですが、所得制限が課される児童手当やマル福といった福祉制度において、所得を計算する算段になって、障害者手帳による控除が所得から引き算できるという隠れた効能を持っています。
マンションや一戸建てなどの住宅を購入する際に、多くの人が大きい金額の住宅ローンを組むことになります。しかしながら、住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険(通称:団信)に入ることを要求されることがあります。そして、生命保険というものは既往症・持病があると加入が困難です。
双極性障害(躁うつ病)を患っていると連続的な通院加療を必要とするので、生命保険に加入するために必要な、疾病が治った期間が得られないという問題があります。つまり、医師による治療を受けていない期間が将来に向かって存在しないため、通常の生命保険(団信を含めて)への加入はまず難しいということです。
躁鬱を抱えつつ、住宅を手にするにはどうすればよいでしょうか?この記事では住宅ローンを組むための方法について考えていきます。
医学、科学に関する研究の進歩は日進月歩ですから、その最前線の情報に追いつこうと思うのであれば、学術論文を情報源として用いることになります。しかし、情報源として論文を参照する場合、どのようなことに気をつければよいでしょうか?論文として重要であると考えられていることと、上記のような文脈で読み手が情報を求めていることの間に隔たりはないでしょうか?
ふるかわはたまたま研究職という仕事に就いていて、学術論文を執筆したり査読する立場にいますので、今回はその経験から、最先端の情報をあたるために論文を参照する上で知っておいてよいことの一つである、論文が掲載されるまでのプロセスについて書いてみたいと思います。それはpeer review方式とよばれています。
傷病手当金とは、サラリーマンなどが疾病や怪我などで働くことができなくなって給与が支払われなくなった場合に、健康保険組合から概ね給与の6割程度を支給してくれるというものです。最長で1年6ヶ月まで支給してくれる制度ですが、躁うつ病などの慢性の精神疾患に対しては、制度上うまくできていない問題があります。
今回は、傷病手当金の制度上の問題を踏まえ、この傷病手当金の制度を上手に利用するヒントを考えていきます。
マル福とは、主として妊産婦や乳幼児にかかる医療費の公費補助を受けるための福祉制度の通称です。この福祉制度の適用を受けるためにはやや厳しい所得制限をクリアする必要があります。しかし、障害者手帳を持っていると、この所得基準をクリアしやすくなるため、将来子どもがほしいと考えている障害者世帯には良い知らせです。
今回は、マル福と障害者手帳の微妙な関係について考えてみます。
躁うつ病を抱えて闘病している場合、配偶者や親によって扶養されているケースが多くなります。そのようなケースでは、その扶養者を亡くしたときのリスクは非常に高いものとなります。場合によっては、生活が成り立たなくなってしまいます。
このようなリスクに備えるための一種の保険制度(共済)があります。心身障害者扶養共済制度と言います。扶養者が死亡または障害状態になった場合に、扶養されている心身障害者に年金を支給する制度です。